* MSSセミナー@京都 #03 [#l7d334ac] ** 日時 [#t9ad7f84] - 2008年01月 15日(火)15:00〜 ** 場所 [#nce4c347] - 京都大学桂キャンパス Aクラスター(A3-025) - [[アクセスマップ:http://www.kyoto-u.ac.jp/top2/documents/18_map.htm]] ** 講師: 井上 康博 氏 (京都大学) [#nc7e073e] ***題目 [#gc722a83] 複雑流体の微視的な粒子モデル ***概要 [#p0484c95] 流体の運動は,空気であれ,水であれ, Navier-Stokes方程式によって記述される.それぞれの流れは,系の大きさや流速を適当に調整すれば,運動学的に等価な流動パターンとなる.しかしながら,空気と水では,分子の種類,分子間の距離や相互作用が,互いに全く異なっている.つまり,流れのダイナミクスと分子運動は,1対1に対応するものではない.何故,分子レベルでは全く異なる運動が,巨視的な流れのダイナミクスでは,たった1つの方程式に集約されてしまうのだろうか. この疑問に厳密に答えることは難しいが,少なくとも質量と運動量が保存し,分子相関が流れのスケールより短ければ,巨視的な流れのダイナミクスは,Navier-Stokes方程式に従うとされている.このことを計算力学の立場から見直すと,流れのダイナミクスを再現する微視的な粒子モデルは,実際の分子運動を含めて多数存在するものと考えられる. このような考え方をもとに開発された微視的粒子モデルとして,格子ガス法,格子ボルツマン法がある.これらのモデルでは,微視的な粒子運動あるいは分布関数の時間発展の積み重ねとして,流れのダイナミクスが再現され,実際の物理的階層性が捉えられていると考えられる.また,粒子間相互作用を適切にモデル化することにより,複雑流体の内部構造を特徴付ける非一様性や内部構造と流れ場の相互作用は,粒子運動から自然な形で模擬される.ここでは,これらのモデルを取り上げ,最近の発展と複雑流体への拡張について紹介する.