MSSセミナー@米沢 #02

日時

  • 2008年2月1日(金)13:30〜

場所

講師:戸田 昭彦 氏(広島大学)

講演タイトル

「自発的勾配場からの高分子球晶の構造形成」

概要

高分子結晶を溶融体や粘性液体から成長させるとき、微結晶が枝分かれを繰り返しながら3次元空間を充填した高次構造(球晶)が形成される。球晶形成機構に関しては,数十年来,多くの研究がなされているが,未だその本質は明らかにされていない。今回,結晶成長が自発的に形成する勾配場からの構造形成という見方でその成因にアプローチする。

講師:山口 哲生 氏(東京大学)

講演タイトル

「粘着性ゲルシートのすべり摩擦」

概要

粘着性を有するゲルシートの一端を掴んで硬い基板上で引っ張ると、ゲルは粘着性のため界面ですべることができず、代わりに剥離の波が伝播することによってその重心が移動する。この「すべりを伴わないすべり摩擦挙動」について、実験及び理論(破壊力学)による解析結果を報告する。

講師:森田 裕史 氏(東京大学・JST-CREST)

講演タイトル

「高分子ー固体間界面におけるミクロからマクロスケールの解析」

概要

我々は、高分子ー固体間界面における各スケールの問題について研究を行なっている。具体的には、ミクロなスケールでは、「基板界面における高分子運動性とガラス転移温度」から、少しスケールが大きな「AFM探針における凝着力測定」、さらにミクロンスケールの「ゴムの粘着・剥離実験」がある。本講演では、これらの概要を報告し、固体近くの高分子に関して様々なスケールの見方から議論を行なう。

講師:礒部 雅晴 氏(名古屋工大)

講演タイトル

「2次元剛体球系の速度自己相関関数とロングタイムテール」

概要

AlderとWainwrightが剛体球分子動力学シミュレーションにより発見した大きな成果の一つに速度自己相関関数のべき的な長時間緩和(ロングタイムテール)がある。2次元では輸送係数の時間相関関数表式(線形応答理論)に対数発散を生じるために、公式の妥当性が問題となり、70年代における非平衡統計物理の中心的な課題となった直接数値シミュレーションから検証するには本質的に大規模計算が必要である。講演では、「ロングタイムテール (long time tail)問題」を再訪し、Alderらの最初の論文から40年近く経た現在の最新の成果を報告する。